「バイクのアクセルを回すとエンジンが止まってしまった…」
今まさにこんなトラブルに出くわしているのではないでしょうか?
このようなトラブルは、キャブレターで燃料を供給するタイプの車両で起きやすいトラブルです。
本記事では、アクセルを回すとエンジンが止まってしまう原因6つと対処法を解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
キャブレターとインジェクションの違い
ご存知の方も多いと思いますが、バイクにはガソリンを供給するための方法が2種類存在します。
キャブレターとインジェクションです。
キャブレターは古い技術で、空気と燃料を混ぜる装置です。
エンジンが吸い込む空気の流れで燃料を吸引し、空気と混ぜてエンジンに送ります。
シンプルな構造のため、修理やメンテナンスがしやすいです。
仮に不調が生じても一部の部品を交換すれば直ることが多く、修理代も安く抑えられます。
インジェクションは、1980年に発売されたKawasakiのZ1000Hから実用化された技術で、燃料供給をコンピューター制御で行い、霧状に噴射する装置です。
コンピューターが常に最適な燃料の量を調整するため、キャブレターに比べトラブルが少ない傾向にあります。
一方で不具合が生じた場合、自分で分解修理を行うことは容易ではありません。
とはいえ、インジェクション自体が故障するケースは稀です。
インジェクション車にもかかわらず、アクセルを回すとエンジンが止まるという現象が起きる場合、吸気系や点火系、制御系に問題が生じていることが多いと考えられます。
次の項で詳しく解説していますので、怪しい箇所をチェックしてみてください。
バイクのアクセルを回すとエンジンが止まる原因と対処法
アクセルを回すとエンジンが止まる原因として考えられるのは以下の6つです。
- 燃料供給の不具合
- 吸気系統の不具合
- 点火系統の不具合
- 電気系統の不具合
- 制御系統の不具合
- エンジン内部の不具合
1. 燃料供給の不具合
主にキャブレター車で起こりやすい不具合です。
燃料フィルターの詰まりや燃料ポンプの不具合、キャブレターの汚れなどが原因で発生します。
対処法としては以下の3つです。
- 燃料フィルターのチェックと交換
古いバイクの場合、タンク内の錆が沈澱し、燃料フィルターを詰まらせている場合があります。詰まっている場合は、分解の上清掃するか、新しいフィルターに交換しましょう。 - 燃料ポンプの確認
燃料フィルターに問題がなさそうな場合は、燃料ポンプが問題なく動いているか確認してみましょう。不具合がある場合は修理または交換が必要です。 - キャブレターの清掃
バイクからキャブレターを取り外し、燃料共有に影響するジェットニードルに詰まりがないか、パイロットスクリューまたはエアスクリューの調整に問題はないかなどを確認します。
ここは専門的な知識が必要ですが、YouTubeに参考動画がたくさん上がっていますので、キャブレター車に乗っている方は挑戦してみてください。
2. 吸気系統の不具合
続いて吸気系統の不具合です。
エアフィルターの詰まりやインテークマニホールド(通称インマニ)の破損によって、エンジンに十分な空気が供給されない場合、アクセルを回すとエンジンが止まることがあります。
対処法としては以下の2つです。
- エアフィルターのチェックと交換
エアフィルターが汚れている場合は、清掃するか交換します。エアフィルターの状態は定期的にチェックし、常に清潔に保つようにしましょう。 - インテークマニホールドの確認
劣化してヒビが入っているようであれば交換してしまいましょう。接続部分も確認し、漏れがないかチェックしてください。パーツの劣化以外にも、パーツを接合しておくためのネジがゆるんでいることが原因の場合もあります。
3. 点火系統の不具合
スパークプラグの劣化や点火コイルの不良、点火時期のズレなどによって点火不良が発生し、エンジンが止まることがあります。
対処法としては以下の3つです。
- スパークプラグの点検と交換
スパークプラグの状態を確認し、劣化している場合は新しいプラグに交換します。状態によっては、金ブラシで清掃するだけで問題ない場合もあります。 - 点火コイルの確認
点火コイルが正常に作動しているか確認します。
不具合がある場合は修理または交換が必要です。 - 点火時期の調整
点火時期がズレている場合は、適切なタイミングに調整します。
点火時期の調整には専用の機器が必要です。
スパークプラグの交換以外は、より知識を求められる範囲となるため、修理できそうにない場合はバイクショップに依頼しましょう。
4. 電気系統の不具合
バッテリーの電圧低下や配線の接触不良、ヒューズの切れなど、電気系統の不具合が原因でエンジンが止まることがあります。
対処法としては以下の3つです。
- バッテリーの電圧チェック
バッテリーの電圧をチェックし、低下している場合は充電または交換します。
バッテリーが寿命を迎える時期であれば、潔く交換しましょう。 - 配線の確認
配線が正しく接続されているか、接触不良がないか確認します。
配線の断線や劣化が見られる場合は修理します。 - ヒューズの確認と交換
ヒューズが切れている場合は新しいヒューズに交換します。
頻繁に切れる場合は、電気系統全体を点検する必要があります。
5. 制御系統の不具合
制御系の不具合は、主にインジェクション車に起こり得るトラブルです。
ECU(エンジンコントロールユニット)の不具合が原因でエンジンが止まることがあります。
バイクショップまたはDIYでECUの故障診断を行い、不具合が見つかった場合は修理または交換します。
ECUは競技をする人でもない限り自分でいじることは稀です。
身近に相談できる人がいない場合は、バイクショップに依頼しましょう。
6. エンジン内部の不具合
非常に稀なパターンではありますが、エンジン内部の故障も原因のひとつです。
例えばコンプレッションの低下やバルブの異常、クランクシャフトの不具合などが原因でエンジンが止まることがあります
対処法としては以下の3つです。
- エンジンコンプレッションの測定
コンプレッションゲージを使用して、シリンダー内の圧力を測定します。圧力が低い場合は、ピストンリングやバルブシートの劣化が原因である可能性があります。 - バルブクリアランスの調整
バルブクリアランスを測定し、必要に応じて調整します。
バルブの異常が見られる場合、修理または交換が必要です。 - 関連部品の点検と修理
クランクシャフトや他のエンジン関連部品に異常がある場合、修理または交換します。
バイクのアクセルを回すとエンジンが止まる不調を防ぐ方法
アクセルを回すとエンジンが止まるという不調が出先で起きることのないよう、事前に防ぐ方法を知っておきましょう。
車両に合った燃料を使用する
最新の大型バイクはハイオク指定の車種が多いです。
レギュラーガソリンでも問題なく走れますが、安いからといって継続的に使用するとトラブルの原因になります。
所有するバイクにあった燃料を使用しましょう。
こまめに点検・清掃する
アクセルを回すとエンジンが止まるというような症状は、普段からこまめに点検・清掃を行っていれば、まず発生することはありません。
日頃のメンテナンスをきちんと行っていれば、発生前に気づける可能性が高いためです。
年式の古いバイクはキャブレター車が多く、不安定になりやすい傾向にあるため、定期的な点検や清掃をよりこまめに実施しましょう。
定期的に部品交換する
点検のついでに、定期的な部品交換もおすすめします。
ここでも古いバイクが主に対象となってきますが、キャブレターとエンジンをつなぐインマニは、経年劣化しやすいパーツです。
ブレーキやアクセルワイヤーなども古い場合は交換しておきましょう。
出先でワイヤーが切れた場合は悲惨です。
アクセルを回すとエンジンが止まる症状と類似の事例
アクセルを回すとエンジンが止まる症状と似たような事例がいくつかあります。
3つほど紹介しますので、参考にしてください。
信号待ちでエンジンが止まる
信号待ちなどのアイドリング状態のときに、エンジンが突然止まることがあります。
これは、アイドリング時の回転数が低すぎる、燃料供給が不安定、または電気系統のトラブルが原因であることが多いです。
特に、キャブレターやインジェクションの調整が適切でない場合や、バッテリーの劣化が関係していることが考えられます。
バイクが息つきを起こす
息つきとは、アクセルは一定なのに、出力が安定しない状態です。
この現象は、特に加速中に感じられることが多く、アクセルを開けた際に燃料が十分に供給されていない、または点火系統に問題がある場合に発生します。
エアクリーナーの詰まりや、燃料フィルターの汚れが原因となっていないか、確認してみましょう。
アクセルを回しても吹け上がらない
この症状は、燃料供給系統や排気系統に問題がある場合に起こりやすいです。
キャブレターの詰まりや、インジェクションの不具合、マフラーの詰まりが原因となっている場合があります。
点火プラグが劣化している場合も同様の症状が現れることがあります。
原因の特定が難しい場合はプロに修理を依頼しよう
いかがでしたでしょうか?
アクセルを回すとエンジンが止まるのは、主に2000年以前の古いバイクで発生しやすいトラブルと言えます。
近年のバイクで生じた場合、専門知識や工具なしに修理するのは困難な可能性が高いです。
無理にいじってしまうことで余計な故障が発生しないよう、修理技術や知識に自信がない場合はプロに修理を依頼しましょう。