バイクのチョークを戻したらエンジンが止まってしまい、慌てたことはありませんか?
特に気温が低い冬の季節や、長期間バイクを動かしていないと発生しやすいトラブルです。
本記事では、チョークを戻すとエンジンが止まってしまう原因と対策について徹底解説します。
バイクのチョークとは?
まずはじめに、チョークの役割と機能、始動時にチョークが必要な理由について解説します。
チョークの役割と機能
チョークは、エンジンの始動を補助するための機構です。
近年主流となっているインジェクション車には搭載されておらず、キャブレター車にのみ存在する機構となります。
キャブレターは空気とガソリンの混合比を調整するための機構です。
エンジンが冷えていると空気とガソリンの混合比が適切にならず、燃焼が不完全になり、エンジンがかかりにくい状態となります。
この状態を解消するのがチョークの役割です。
チョークを引くことで空気の供給が制限され、ガソリンが濃い状態でエンジンに送られようになり、冷えたエンジンでも簡単に始動できるようになります。
エンジン始動時にチョークが必要な理由
チョークが必要となるのは、主に寒い時期です。
エンジンが冷え切った状態では、ガソリンを効率的に燃焼できません。
そこで、先ほどお伝えしたようにチョークで空気の量を制限します。
これにより、ガソリンの濃度が高まり、エンジンがかかりやすくなります。
ある程度エンジンが温まったらチョークを戻してください。
特にバイクに異常がなければ、アイドリングが安定します。
逆にしばらくチョークを引いてエンジンが温まっている状態にもかかわらず、エンジンが止まってしまう場合は、何かしら異常箇所があるということです。
詳しくは次の項を参照ください。
バイクのチョークを戻すとエンジンが止まる原因
チョークを戻したときにエンジンが止まってしまう主な原因は、以下の4つです。
- キャブレターの汚れや詰まり
- エンジンの暖機不足
- アイドリング不良や調整不足
- エアフィルターの詰まりや劣化
原因1:キャブレターの汚れや詰まり
キャブレターを分解してみるとよくわかりますが、内部のガソリンの通路は非常に小さい穴です。
したがって、その穴に汚れが詰まってしまうと空気とガソリンの混合比が崩れてしまい、エンジンが止まってしまいます。
特に、長期間メンテナンスをしていなかった古いバイクで起こりやすいです。
原因2:エンジンの暖機不足
最もよくある原因は、エンジンの暖気不足です。
エンジンが十分に温まっていない状態でチョークを戻すと、燃料供給が不安定になりエンジンが停止してしまいます。
特に気温が低い日は、エンジンが温まるまでに時間がかかります。
キャブレターに異常がないのにも関わらず、チョークを戻すとエンジンが止まりそうになってしまう場合、暖気不足が原因のことが多いです。
原因3:アイドリング不良や調整不足
設定しているアイドリング回転数が低すぎると、チョークを戻した際に回転数が安定せずにエンジンが停止してしまうことがあります。
アイドリングを適切に調整してもエンジンの回転が安定しない場合は、キャブレターの調整が正しくできていない可能性があります。
原因4:エアフィルターの詰まりや劣化
エアフィルターが詰まっている、もしくは劣化している場合、エンジンに必要な空気が十分に供給されず、燃焼が不安定になります。
これが原因で、チョークを戻すとエンジンが止まる場合もあります。
エアフィルターには乾式と湿式がありますが、湿式の場合はいつのまにがスポンジがボロボロになっている場合もあり、定期的な点検が必要です。
バイクのチョークを戻すとエンジンが止まるときの対策
バイクのチョークを戻したときにエンジンが止まってしまう場合の対策は、次の4つです。
- キャブレターを清掃する
- エンジンを十分に温めてからチョークを戻す
- アイドリング調整をする
- エアフィルターを清掃または交換する
対策1:キャブレターを清掃する
エンジンが温まっていてもアイドリングが安定しなかったり、吹け上がりが悪かったりする場合はキャブレターを清掃しましょう。
キャブレターの清掃方法としては、キャブクリーナーを使う方法と分解洗浄の2つがあります。
汚れがあまりひどくない場合は、キャブクリーナーで対処可能です。
具体的には、キャブレターのエアクリーナー側のインシュレーター(黒いゴムホースの箇所)を外し、エンジンをかけながらキャブクリーナーを吹きかけます。
それでも解消されない場合は、分解洗浄をしましょう。
主な原因は、メインジェットやスロージェットと呼ばれる、金属パーツの小さい穴に蓄積した汚れです。
数百円で購入できる専用のクリーニングニードルを使用すると汚れが取れます。
キャブレタークリーナーを使いながら汚れを落とし、最後にパーツクリーナーですべての穴に詰まりがないことが確認できたら終了です。
清掃に自信がない場合は、プロに依頼しましょう。
ご自身で行う場合は、愛車のサービスマニュアルがあると安心です。
万が一部品を損傷してしまった場合でも、簡単に部品番号を調べることができます。
対策2:エンジンを十分に温めてからチョークを戻す
エンジンが冷えていると燃焼が不安定になるため、1〜2分の暖機運転を行ってからチョークを戻すようにします。
気温が低い日や寒い季節は、暖機時間を長めに取ることで、エンジンの回転数が安定しやすくなります。
戻すとエンジンが止まってしまいそうな場合は、まだ十分に温まっていない状態ですので、様子を見ながらゆっくりチョークを戻しましょう。
対策3:アイドリング調整をする
キャブレター車はアナログな仕組みとなっているため、外気温によって変化が起きやすい機構です。
エンジンが温まったうえでチョークを戻しても、エンジンが停止してしまう場合はアイドリング調整をしてみてください。
車種によってはアイドリングを外側から簡単に調整できるダイヤルが付いています。
ついていない場合でも、細めのマイナスドライバーがあれば、簡単に調整できるようになっています。
ただし、調整の際は1mmずつ動かす感覚でダイヤルを回すようにしてください。
大きく回してしまうと一気に回転数が上がってしまうためです。
それでもアイドリングが安定しない場合、キャブレターの清掃・調整、エアクリーナーの清掃・交換を試しましょう。
対策4:エアフィルターを清掃または交換する
前述のとおり、エアフィルターに汚れが付着して空気の通りが悪くなるとエンジンのパフォーマンスが低下するため、清掃または交換を試みましょう。
エアフィルターには乾式と湿式の2種類があり、タイプによってメンテナンス方法が異なります。
乾式は、硬い不織布が金属の筒に収まっているものが一般的です。
耐久性が高いことが特徴ですが、湿式に比べると不純物をろ過する能力が劣る傾向にあります。
乾式のエアフィルターを清掃する場合、付着した汚れを取り切るのが難しいため、交換が一般的です。
一方で湿式は、オイルを染み込ませたスポンジで不純物をろ過し、乾式よりも多くの不純物をキャッチできます。
汚れている場合は専用のクリーナーを使って清掃したあとに、オイルを染み込ませるようにします。
スポンジが劣化している場合は、潔く交換してしまいましょう。
フィルターが汚れていると燃費が悪化するだけでなく、エンジンの不調の原因にもなりますので、定期的にメンテナンスしてください。
バイクのチョークに関するよくある質問
バイクのチョークに関するよくある質問についてお答えします。
チョークは引きっぱなしでも問題ないですか?
チョークを引きっぱなしにして走行するのはやめておきましょう。
チョークを引いたままだと燃料が濃い状態が続いてしまい、燃費が悪化するだけでなく、エンジン内部にカーボンが蓄積しやすくなります。
カーボンが蓄積すると、吹け上がりが悪くなるなどパフォーマンスが低下するため、エンジンが温まったらチョークを戻すようにしてください。
夏でもチョークは必要ですか?
乗る際の気象条件にもよりますが、夏場は気温が高いため、チョークが不要な場合が多いです。
避暑地に出向いて長時間バイクを停止していた際は、チョークが必要となる場合があります。
気温が高いのにも関わらず、毎回チョークを引かないとエンジンがかからない場合は、エンジンやキャブレターに問題が生じている可能性が高いです。
ご自身での修理が難しい場合は一度プロに相談してみてください。
チョークは始動後どれくらいで戻したらいいですか?
エンジン始動後1〜2分程度でチョークを戻すのが一般的です。
ただし、これは目安の時間です。
冬場はエンジンの温まりが遅いため、もう少し長めに暖機運転が必要な場合もあります。
チョークを戻してもアイドリングが安定するようであれば、暖気完了です。
なお、チョークは一気に戻すと燃焼が不安定になり、エンジンが止まる原因となるため、ゆっくり戻しましょう。
チョークを戻すとエンジンが止まる症状が治らない場合はプロに相談を
いかがでしたでしょうか?
チョークを戻すとエンジンが止まってしまう場合は次の4つを試してみてください。
①キャブレターを清掃する
②エンジンを十分に温めてからチョークを戻す
③アイドリング調整をする
④エアフィルターを清掃または交換する
上記を試しても症状が改善されない場合は、キャブレターの調整が適切でないか、別の箇所に問題がある可能性があります。
ご自身で直せそうにない場合は信頼できるプロに調整・修理を依頼しましょう。